
住民投票のトンデモを振り返る
莫大な税金と時間、労力を費やして行われた2015年5月17日の「大阪市特別区設置住民投票(住民投票)」。大阪市民を二分したこの住民投票、大阪維新の会は再び行おうと言うのでしょうか。
当時から指摘されていたこの住民投票のさまざまな問題点について、改めて振り返ります。
市民の税金で「賛成」を求める大演説会
大阪市は39回もの「住民説明会」を開きました。もちろん市民の税金で、です。
ところが出席者から続出する質問・意見に対し、当時の橋下徹市長は「反対派が意見を言う場ではない」と言い放って全く取り合わず、「これは僕の説明会」と開き直りました。
質問時間もわずか10分。その言葉通り、税金を使った「橋下個人大演説会」に終始しました。
「大阪市廃止」が隠蔽された投票用紙
住民投票は、大阪市を廃止して特別区を設置するというもの。なのに、投票用紙には「廃止」の記載がありませんでした。
「大阪市の中に特別区ができる」と誤解した市民も多いのではないでしょうか?
実際は後の調査では「賛成多数だった場合大阪市はどうなったか」という質問に、「消滅する」と正しい答えを選んだ市民はわずか8.7%でした。
カネにモノを言わせたなりふり構わぬ「大宣伝」
維新の会のタウンミーティングは600回以上、開催されました。
テレビCMや新聞広告、市内には大量のポスターが張り出され、ラッピングトラックが走り回りました。
広報費は5億円とも6億円とも言われます。その費用は政党助成金や寄付金から捻出されたのでしょうが、いずれにしても党を挙げてのなりふり構わぬ「物量作戦」でした。
ムダになった32億円の税金
投票結果は反対が多数で、市民は大阪市の存続を選びました。使われた税金は32億円。
運動期間中、維新の会は「今回が大阪を変える最後のチャンス」「2度目の住民投票はありません」と訴えていました。
本当に市民を大事に思うなら、もう1度32億円も使えるわけがなく「2度目の住民投票」などありえないはずです。